「引く美」と「加える美」。正反対の美学が溶け合う「融合」の真実とは。
茶懐石が大切にする、余白を尊ぶ「引き算」の精神。そして、フランス料理が誇る、技術を積み重ねる「足し算」の美学。一見、交わることがないように思えるこの二つの思想を、一つの時間軸の中に共存させること——それこそが「ふれんち茶懐石」という独自の料理コンセプトの核となる「融合」です。
単なる和洋折衷ではない、新しい一皿の理(ことわり)を導き出すための料理設計。そして、技術を使いながらもあえて「何をしないか」を決めるメニュー開発の矜持。今回は、静寂の中に作り手の意志を宿らせ、記憶に残るキラーメニューへと昇華させるための、深い「融合」のプロセスについて綴ります。